3003 ヒューリック 決算分析レポート

2024年12月期決算短信

1.【概要】

ヒューリック株式会社は、不動産事業を主力に保険事業やホテル・旅館事業も展開する企業です。2024年12月期の業績は、売上高が前年同期比32.5%増加し、営業利益、経常利益、純利益も全て増加しています。本レポートでは、財務状況や業績動向を詳細に分析し、投資判断に役立つ情報を提供します。

2.【財務項目】

項目金額(百万円)前年比(%)
売上高(Revenue)591,61532.5
売上総利益(Gross Profit)230,93417.5
営業利益(Operating Income)163,36011.7
営業利益率(Operating Margin)27.6%△5.1ポイント
営業外収益・費用(Non-Operating Income/Expenses)△9,030算出不可
経常利益(Ordinary Income)154,32912.2
純利益(Net Income)102,3418.1
総資産(Total Assets)3,048,93522.9
流動資産(Current Assets)583,86456.6
固定資産(Non-Current Assets)2,463,68017.0
流動負債(Current Liabilities)462,754149.8
固定負債(Non-Current Liabilities)1,729,83713.3
純資産(Net Assets / Equity)856,34411.3
株主資本(Shareholders’ Equity)769,1768.8
流動比率(Current Ratio)126.2%△101.8ポイント
自己資本比率(Equity Ratio)27.3%△3.5ポイント
負債比率(Debt Ratio)72.7%+3.5ポイント

3.【損益計算書(Income Statement)からの洞察】

【売上高(Revenue)の動向】

  • 売上高は前年比で32.5%増加しています。これは主に新規物件の取得や既存物件の賃貸収入の好調によるものです。

【利益率の分析】

  • 営業利益率は27.6%で、前年比で5.1ポイント低下していますが、依然として高い水準を維持しています。
  • 純利益率も改善しており、特に投資有価証券の売却益増加が貢献しています。

【費用の構造】

  • 売上原価が360,681百万円(前年比44.3%増)で、これは販売用不動産の売上増加に伴うものです。
  • 販売費及び一般管理費は67,573百万円(前年比34.3%増)で、事業拡大に伴う費用の増加が見られます。

4.【貸借対照表(Balance Sheet)からの洞察】

【資産の状況】

  • 総資産は22.9%増加し、特に流動資産が56.6%増加しています。これは販売用不動産の増加が主要因です。
  • 流動比率が低下しているものの、短期的な支払能力に問題はないと考えられます。

【負債と資本のバランス】

  • 自己資本比率は27.3%と前年比で3.5ポイント低下しましたが、安定した資本構成を保持しています。
  • 固定負債の増加は主に新規物件取得や開発のための借入金によるものです。

【財務の健全性】

  • 有利子負債の増加は見られますが、キャッシュフローとのバランスを考慮すると、管理可能な範囲内です。
  • 株主資本の増加は当期純利益の積み上げによるものです。

5.【キャッシュフロー計算書(Cash Flow Statement)からの洞察】

【営業キャッシュフロー(Operating Cash Flow)】

  • 営業活動からのキャッシュフローは353,388百万円で、前年比で30.5%増加しており、営業活動が強固であることを示しています。

【投資活動と財務活動のキャッシュフロー】

  • 投資活動によるキャッシュフローは△602,020百万円で、設備投資や新規物件取得のための支出が大きいです。
  • 財務活動では300,589百万円のキャッシュフローがあり、借入金の増加が見られます。

【フリー・キャッシュフロー(Free Cash Flow, FCF)】

  • FCFの具体的な金額は算出できませんが、営業キャッシュフローが高いことから、内部資金で投資や配当に充てる余裕があると考えられます。

6.【総括と投資判断】

【企業の成長性とリスクのバランス】

  • 収益性、成長性、財務健全性は全て良好で、特に不動産市場の回復や新規プロジェクトによる成長が期待できます。

【株価の評価】

  • 具体的な市場データがないためP/E比率などは算出不可ですが、業績の伸びから見て、割安に近い可能性があります。

【投資家へのアドバイス】

  • 短期的には業績の好調が続く可能性が高いため、投資のチャンスと見られます。ただし、金利上昇や不動産市場の変動には注意が必要です。

7.【分析・評価】

【収益性の分析・評価】

  • 評価: 優れた収益性
  • 営業利益率: 27.6%
  • 業界平均と比較しても高い水準。

【安全性の分析・評価】

  • 評価: 財務的に健全
  • 自己資本比率: 27.3%
  • 流動比率: 126.2%

【生産性の分析・評価】

  • 評価: 効率的
  • 売上高に対する売上総利益率: 39.0%

【効率性の分析・評価】

  • 評価: 効率的
  • 販売管理費の増加はあるが、営業利益の増加につながっています。

【成長性の分析・評価】

  • 評価: 高い成長性
  • 売上高の増加率は32.5%で、特に不動産事業が牽引。

【キャッシュフローの分析・評価】

  • 評価: キャッシュフローが強固

8.【課題】

  • 負債の増加に伴う金利リスク。
  • 市場の不確実性や地価の変動による影響。

9.【結論】

ヒューリック株式会社は、堅調な不動産市場を背景に高い成長性と収益性を示しています。しかし、負債管理や不動産市場のリスクも考慮する必要があります。慎重な投資判断が求められますが、中長期的には有望な投資先と言えるでしょう。