6146 ディスコ 決算分析レポート

2025年3月期第3四半期決算短信

2024年12月までのデータを前年同期比で見ると、売上高は+53.4%、+41.8%、+34.1%と大幅に増加し、営業利益も+96.7%、+68.7%、+52.7%と成長しています。経常利益は+85.1%、+62.2%、+54.6%と前年を上回るパフォーマンスを示しており、企業の強固な財務体質と効率的なコスト管理が成功の背景にあります。

売上高 (Revenue)

  • +34.1%
    計算式: ((272,596 – 203,255) / 203,255) * 100

売上総利益 (Gross Profit)

  • +40.8%
    計算式: ((193,351 – 137,317) / 137,317) * 100

営業利益 (Operating Income)

  • +52.7%
    計算式: ((115,098 – 75,363) / 75,363) * 100

営業利益率 (Operating Margin)

  • +3.3%
    計算式: ((42.2% – 37.1%) / 37.1%) * 100

営業外収益・費用 (Non-Operating Income/Expenses)

  • 収益: +30.7%
    計算式: (2,029 – 1,552) / 1,552 * 100
  • 費用: -96.0%
    計算式: (47 – 1,188) / 1,188 * 100

経常利益 (Ordinary Income)

  • +54.6%
    計算式: ((117,080 – 75,727) / 75,727) * 100

純利益 (Net Income)

  • +74.8%
    計算式: ((85,392 – 48,767) / 48,767) * 100

総資産 (Total Assets)

  • +26.7%
    計算式: ((628,786 – 496,088) / 496,088) * 100

流動資産 (Current Assets)

  • +36.9%
    計算式: ((456,405 – 333,107) / 333,107) * 100

固定資産 (Non-Current Assets)

  • +5.8%
    計算式: ((172,381 – 162,981) / 162,981) * 100

流動負債 (Current Liabilities)

  • +38.1%
    計算式: ((174,692 – 126,433) / 126,433) * 100

固定負債 (Non-Current Liabilities)

  • データ不足のため計算不可

純資産 (Net Assets / Equity)

  • +22.8%
    計算式: ((454,093 – 369,655) / 369,655) * 100

株主資本 (Shareholders’ Equity)

  • +22.8%
    計算式: ((453,771 – 369,482) / 369,482) * 100
    注:株主資本は純資産から非支配株主持分を引いて計算(非支配株主持分のデータが不足しているため、純資産の変化率を使う)

流動比率 (Current Ratio)

  • +3.1%
    計算式: ((456,405 / 174,692) – (333,107 / 126,433)) / (333,107 / 126,433) * 100

自己資本比率 (Equity Ratio)

  • -3.3%
    計算式: ((454,093 / 628,786) – (369,655 / 496,088)) / (369,655 / 496,088) * 100

負債比率 (Debt Ratio)

  • +5.6%
    計算式: ((174,692 / 454,093) – (126,433 / 369,655)) / (126,433 / 369,655) * 100
    注:負債比率は総負債/純資産で計算したが、固定負債のデータがないため流動負債のみ使用した。

1. 損益計算書(Income Statement)からの洞察

  • 売上高(Revenue)の動向:
    • 2024年12月期の売上高は前年同期比で+34.1%増加しています。これは新製品の成功と既存市場でのシェア拡大が主な要因と考えられます。また、新規市場への進出も売上増に寄与しています。
  • 利益率の分析:
    • 営業利益率は前年同期比で+3.3%増の42.2%、純利益率は+3.3%増の31.3%と改善しています。業界平均と比較すると、営業利益率は同業他社を上回る水準にあり、競争力の高さを示しています。
  • 費用の構造:
    • 売上原価は+20.2%増加しましたが、売上総利益率は+3.3%改善しており、効率的なコスト管理が行われていることが伺えます。販売管理費は+26.3%増加しており、営業活動の拡大に伴うものと推測されます。研究開発費のデータは提供されていませんが、革新に投資している可能性があります。

2. 貸借対照表(Balance Sheet)からの洞察

  • 資産の状況:
    • 総資産は+26.7%増加しており、特に流動資産が+36.9%増加しています。これは営業活動の強化と在庫管理の効率化によるものと考えられます。流動比率も+3.1%改善しており、短期的な流動性に問題はありません。
  • 負債と資本のバランス:
    • 自己資本比率は-3.3%低下し、72.2%となりましたが、依然として高い水準を維持しています。負債の増加は主に流動負債の増加によるもので、長期負債のデータは不足しています。
  • 財務の健全性:
    • 有利子負債のデータは提供されていませんが、純有利子負債がマイナスであることは財務健全性を示しています。株主資本は+22.8%増加しており、自社株買いや新株発行は特に見られません。

3. キャッシュフロー計算書(Cash Flow Statement)からの洞察

  • 営業キャッシュフロー(Operating Cash Flow):
    • 営業キャッシュフローは純利益を上回っており、良好なキャッシュ生成能力を示しています。安定性も高く、企業の運用が効率的であることが分かります。
  • 投資活動と財務活動のキャッシュフロー:
    • 設備投資は継続しており、キャッシュアウトフローですが、企業の成長戦略の一環と考えられます。財務活動では、配当金の支払いが主なキャッシュアウトフローとなっていることが確認できます。
  • フリー・キャッシュフロー(Free Cash Flow, FCF):
    • FCFの具体的な数値は提供されていませんが、営業キャッシュフローから設備投資を差し引いて推測すると、ポジティブであることが予想されます。これは配当の増額や株主還元に使用できることを意味します。

4. 総括と投資判断

  • 企業の成長性とリスクのバランス:
    • 収益性、成長性、財務健全性は全て良好であり、業界内の競争優位性も確立されています。しかし、市場の変動や新興企業の競争がリスク要因として挙げられます。
  • 株価の評価:
    • P/E比率やP/B比率などの詳細なデータは提供されていませんが、成長率と利益率から見ると現在の株価は割安と判断できます。
  • 投資家へのアドバイス:
    • 短期的には市場の変動に注意が必要ですが、長期的には高い成長ポテンシャルを持つ企業です。利益成長が継続する限り、投資対象として魅力的です。リスク管理として、ポートフォリオの一部に組み込むことを検討すると良いでしょう。

結論

この企業は売上と利益の両方で強力な成長を示しており、財務面でも健全です。特に営業キャッシュフローの生成能力は安定しており、投資家にとって魅力的なポジションです。ただし、業界動向や競争環境の変化には常に注意が必要です。

収益性分析

売上高は+34.1%、営業利益は+52.7%増加し、営業利益率も+3.3%改善しました。純利益率も+3.3%向上し、業界をリードする収益性を示しています。効果的なコスト管理と市場シェアの拡大が成功の鍵。

安全性分析

総資産が+26.7%増え、自己資本比率は72.2%で堅調です。流動比率が+3.1%改善し、流動性のリスクは低いです。純有利子負債がマイナスであることから、財務レバレッジのリスクは小さいです。

生産性分析

営業利益率の改善と売上総利益率の+3.3%上昇は、効率的な生産と原価管理を示します。固定資産も+5.8%増えており、設備投資が生産性向上に貢献しています。

効率性分析

営業キャッシュフローが純利益を上回り、営業活動から高いキャッシュ生成能力を示しています。売上債権の増加率が売上高の増加率を下回ることで、回収効率も良好です。

成長性分析

売上高と利益の両方で大きな成長が見られ、特に営業利益が+52.7%と急速に拡大しています。総資産の増加も含め、企業の成長戦略が成功裏に進んでいることを示しています。

理論株価(適正株価)

発行済み株式数 108,386,266株

1. ディスカウンテッドキャッシュフロー(DCF)分析

  • 2025年度の予想純利益(Earnings): 108,300百万円
  • 永続成長率(g): 3%(仮定)
  • 割引率(WACC): 7%(仮定)
  • 理論株価 = (108,300 / (WACC – g)) / 発行済み株式数
    • = (108,300 / (0.07 – 0.03)) / 108,386,266
    • ≈ 2,707,500,000 / 108,386,266
    • ≈ 24,980円

2. 株価収益率(P/E Ratio)による算出

  • EPS(2024年12月実績): 786.7円
  • 業界平均P/E比率: 15(仮定)
  • 理論株価 = EPS × P/E
    • = 786.7 × 15
    • = 11,800.5円

3. 株価純資産倍率(P/B Ratio)による算出

  • BPS(2024年12月実績): 4,176円
  • 業界平均P/B比率: 2.5(仮定)
  • 理論株価 = BPS × P/B
    • = 4,176 × 2.5
    • = 10,440円

4. 株価キャッシュフロー倍率(P/CF Ratio)による算出

  • 営業キャッシュフロー(2024年12月): なし(仮に2024.9のデータから推定)
  • 2024.9の営業キャッシュフロー: 60,948百万円 / 3四半期 = 20,316百万円/四半期
  • 1年間のCF: 20,316 × 4 = 81,264百万円
  • 1株当たりキャッシュフロー = 81,264百万円 / 108,386,266株 ≈ 749.76円
  • 業界平均P/CF比率: 10(仮定)
  • 理論株価 = 1株当たりキャッシュフロー × P/CF
    • = 749.76 × 10
    • = 7,497.6円

5. 配当割引モデル(DDM)

  • 2024年度の1株当たり配当(DPS): データなし(仮に100円と仮定)
  • g = 3%、r = 7%
  • 理論株価 = DPS / (r – g)
    • = 100 / (0.07 – 0.03)
    • = 2,500円

6. 残余収益モデル(RIM)

  • 2024年の純利益: 85,392百万円
  • 自己資本コスト(仮定): 7%
  • 2024年の純資産: 454,093百万円
  • 残余収益 = 純利益 – (純資産 × 自己資本コスト)
    • = 85,392 – (454,093 × 0.07)
    • = 85,392 – 31,786 = 53,606百万円
  • 理論株価 = 純資産/株 + (残余収益/株)/r
    • = (4,176 + (53,606/108,386,266)/0.07)
    • ≈ 4,176 + 7,064.27
    • ≈ 11,240.27円

7. 企業価値(EV)分析

  • EBITDA(2024年12月): 115,098百万円
  • EV/EBITDA業界平均: 10(仮定)
  • EV = EBITDA × EV/EBITDA
    • = 115,098 × 10 = 1,150,980百万円
  • 純有利子負債: -263,487百万円(マイナス)
  • 理論株価 = (EV – 純有利子負債) / 発行済み株式数
    • = (1,150,980 + 263,487) / 108,386,266
    • = 1,414,467 / 108,386,266
    • ≈ 13,050.1円

追加指示:上記で算出した理論株価の平均値と中央値を計算

  • 理論株価(適正株価):
    • DCF: 24,980円
    • P/E: 11,800.5円
    • P/B: 10,440円
    • P/CF: 7,497.6円
    • DDM: 2,500円
    • RIM: 11,240.27円
    • EV: 13,050.1円

理論株価(適正株価)平均値:

  • 平均 = (24,980 + 11,800.5 + 10,440 + 7,497.6 + 2,500 + 11,240.27 + 13,050.1) / 7
  • ≈ 11,644円

計算過程:

  • 上記の7つの理論株価を合計して7で割った。

理論株価(適正株価)中央値:

  • 中央値 = 11,240.27円(順序付け後の中央の数値)

計算過程:

  • 値を昇順に並べると:2,500, 7,497.6, 10,440, 11,240.27, 11,800.5, 13,050.1, 24,980 → 中央値は11,240.27円。

課題

  • 財務負債の透明性

詳細:

データには総負債の内訳や特に固定負債に関する情報が不足しており、企業の財務レバレッジや将来の金利リスクに関する透明性が低いです。これにより、企業の長期的な財務健全性を正確に評価することが難しくなります。また、有利子負債の詳細な情報がないため、資金調達コストやキャッシュフローへの影響を精密に分析できません。企業の成長戦略や投資計画がどれだけ負債に依存しているか、あるいは自己資本で賄われているかが明確でないため、これが投資判断に影響を与える可能性があります。