6417 SANKYO 決算分析レポート

2025年3月期第3四半期決算短信

1.【概要】:
株式会社SANKYOはパチンコ機・パチスロ機の製造販売を主力事業とする企業です。2025年3月期第3四半期(2024年4-12月)の業績は、パチスロ機事業が138.5%増収と急成長する一方、パチンコ機事業が38.2%減収となり、売上高全体では9.9%減少しました。自己資本比率82.4%と財務基盤は堅固ですが、業績の二極化が特徴的です。

2.【業績予想】:

項目通期予想 (百万円)前期比 (%)
売上高190,000△4.6
営業利益71,000△2.1
経常利益72,000△1.6
当期純利益51,500△4.3

3.【財務項目】:

財務項目金額 (百万円)前年同期比 (%)
売上高153,700△9.9
売上総利益91,012△3.7
営業利益62,442△4.3
営業利益率40.6%+2.4ポイント
経常利益63,187△4.1
純利益45,508△5.7
総資産333,938+14.3
流動資産293,228+16.6
固定資産40,710+0.1
流動負債47,921+52.9
固定負債9,253+0.7
純資産276,763+9.8
流動比率612%△208ポイント
自己資本比率82.4%△3.1ポイント

4.【損益計算書(Income Statement)からの洞察】:

項目分析結果
売上高動向パチスロ機が138.5%増収するもパチンコ機38.2%減収が全体を牽引
利益率構造営業利益率40.6%と高水準維持(前年同期38.2%)
費用構造販管費28,570百万円(△2.2%)で厳格なコスト管理実施

5.【貸借対照表(Balance Sheet)からの洞察】:

項目分析結果
資産状況現預金147億円(+13%)、受取手形・売掛金48億円(+106%)が急増
負債バランス買掛金20.5億円(+176%)が流動負債増加の主因
財務健全性自己資本2767億円(前期比+9.8%)で極めて高い安定性

6.【キャッシュフロー計算書(Cash Flow Statement)からの洞察】:

項目分析結果
営業CF減価償却費18.7億円計上(前年同期20.0億円)
投資活動有形固定資産27億円(+1.8%)で設備投資抑制
フリーCF算出不可(キャッシュフロー計算書非開示)

7.【分析・評価】:

項目評価理由
収益性営業利益率40%超の異常に高い収益構造
安全性現預金1474億円/流動負債47.9億円の圧倒的な支払能力
成長性パチスロ機138%増収で新規事業成功、パチンコ機38%減収が懸念材料
効率性売上高対総資産回転率0.46回(前年0.58回)で資産効率低下

8.【総括と投資判断】:
【成長性とリスク】パチスロ機の急成長でスマート機種転換成功を示すも、基幹事業のパチンコ機衰退が顕著。業界の規制リスクを常時監視が必要。

【株価評価】P/E比率約10倍(想定EPS234.58円/株価2,300円)、PBR0.8倍(BPS1,242円)で割安水準。

【投資アドバイス】短期:配当利回り4.3%(予想年間100円)で安定株として注目。長期:スマート機種の技術優位性と海外展開可能性に期待。

9.【課題】:

  • パチンコ機事業の回復見通し不透明
  • スマート機種開発コストの増加リスク
  • 業界全体の規制強化懸念

10.【結論】:
SANKYOはパチスロ機事業の急成長で収益基盤を強化しつつ、82.4%の自己資本比率と1474億円の現預金を有する極めて健全な財務体質を維持しています。主要懸念はパチンコ機事業の減収傾向が継続する点ですが、スマート機種への転換成功と年間100円の高配当予想(想定利回り4.3%)は投資家にとって重要な魅力要素です。現時点のPBR0.8倍は業界平均1.2倍を下回る割安水準であり、安定配当を求める保守的投資家には適した銘柄と言えます。ただし業界の規制リスクへの継続的監視が必須です。短期売買よりも中長期保有による配当収入の獲得を主眼とした投資戦略が推奨されます。