6702 富士通 決算分析レポート

2025年3月期第3四半期決算短信

1.【概要】:

富士通株式会社は、サービスソリューション、ハードウェアソリューション、ユビキタスソリューション、デバイスソリューションを主力事業とする企業です。2025年3月期第3四半期の業績は、売上収益が前年同期比0.8%減少しましたが、営業利益が前年同期比169.2%増加し、黒字転換しました。本レポートでは、財務状況や業績動向を詳細に分析し、投資判断に役立つ情報を提供します。

2.【業績予想】:

決算短信には情報なし。

3.【財務項目】:

項目金額(百万円)前期比
売上収益2,621,432△0.8%
売上総利益816,4103.8%
営業利益125,269169.2%
営業利益率4.78%2.96ポイント増
営業外収益・費用分析不可分析不可
経常利益133,029123.9%
純利益(四半期利益)96,313183.5%
総資産3,462,047△1.5%
流動資産1,846,708△2.6%
固定資産1,615,339△0.2%
流動負債1,345,1132.6%
固定負債265,739△6.7%
純資産1,851,195△3.5%
株主資本1,684,248△3.9%
流動比率137.3%△5.9ポイント
自己資本比率48.6%△1.3ポイント
負債比率51.4%1.3ポイント増

4.【損益計算書(Income Statement)からの洞察】:

項目分析結果
売上高(Revenue)の動向売上収益が微減(0.8%減)だが、売上総利益は増加している。これはコスト管理の改善を示唆。
利益率の分析営業利益率が大幅に改善(2.96ポイント増)、経常利益も増加。純利益も大幅に伸びている。
費用の構造販売費及び一般管理費は減少し、営業利益の増加に寄与。ただし、その他の費用は前期比で減少。

5.【貸借対照表(Balance Sheet)からの洞察】:

項目分析結果
資産の状況総資産が減少しているが、流動資産の減少幅が大きい。固定資産はほぼ横ばい。
負債と資本のバランス流動負債が増加、固定負債が減少。資本も減少しており、バランスが変化している。
財務の健全性自己資本比率は低下しているが、依然として中程度の健全性を保っている。負債比率は上昇。

6.【キャッシュフロー計算書(Cash Flow Statement)からの洞察】:

項目分析結果
営業キャッシュフロー営業活動によるキャッシュ・フローが前期比で減少(35.2%減)。売上債権や棚卸資産の増加が影響。
投資活動と財務活動のキャッシュフロー投資活動によるキャッシュ・アウトが増加。財務活動では、自己株式取得による支出が大幅に増加。
フリー・キャッシュフローFCFの計算には必要な情報が不足しているため、算出不可。

7.【分析・評価】:

項目評価理由
収益性高い営業利益率、純利益の増加から見て、収益性が向上している。
安全性中程度自己資本比率の低下と負債比率の上昇が見られるが、健全性は保たれている。
生産性分析不可詳細なデータがないため、生産性の評価は困難。
効率性中程度資産の効率的運用が見られないが、利益率の改善が一部カバー。
成長性高い営業利益、四半期利益の成長率から見て、成長性は高い。
キャッシュフロー分析不可FCFのデータが不足しているため、キャッシュフローの評価は困難。

8.【総括と投資判断】:

【企業の成長性とリスクのバランス】

  • 収益性と成長性は良好だが、財務の健全性は若干の懸念あり。特に、自己資本比率の低下は長期的なリスク増加を示唆。
  • ITサービス業界の動向や競争環境を考慮すると、今後の成長が期待される。

【株価の評価】

  • P/E, P/B, P/CFなどの具体的指標が不足しているため、株価の割安・割高の判定は困難。

【投資家へのアドバイス】

  • 短期的にはポジティブなパフォーマンスが見られるが、長期的には財務の健全性のモニタリングが必要。
  • リスク要因として、自己資本比率の低下や負債増加に注意。

9.【課題】:

  • キャッシュフローの詳細な分析がデータ不足で困難。
  • 生産性や効率性の評価が不完全。

10.【結論】:

富士通は、特に営業利益と純利益の面で強い成長を見せていますが、自己資本比率の低下や負債の増加が将来のリスクを高めています。投資家にとっては、短期的にはポジティブなシグナルが多いですが、長期的には財務の健全性を監視する必要があります。特に、キャッシュフローの改善と負債管理が今後の投資判断の鍵となります。慎重な投資家は、業績の持続可能性と財務構造の安定性を確認するために、さらなる情報収集が必要です。