1.【概要】:
富士通株式会社は、サービスソリューション、ハードウェアソリューション、ユビキタスソリューション、デバイスソリューションを主力事業とする企業です。2025年3月期第3四半期の業績は、売上収益が前年同期比0.8%減少しましたが、営業利益が前年同期比169.2%増加し、黒字転換しました。本レポートでは、財務状況や業績動向を詳細に分析し、投資判断に役立つ情報を提供します。
2.【業績予想】:
決算短信には情報なし。
3.【財務項目】:
項目 | 金額(百万円) | 前期比 |
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売上収益 | 2,621,432 | △0.8% |
売上総利益 | 816,410 | 3.8% |
営業利益 | 125,269 | 169.2% |
営業利益率 | 4.78% | 2.96ポイント増 |
営業外収益・費用 | 分析不可 | 分析不可 |
経常利益 | 133,029 | 123.9% |
純利益(四半期利益) | 96,313 | 183.5% |
総資産 | 3,462,047 | △1.5% |
流動資産 | 1,846,708 | △2.6% |
固定資産 | 1,615,339 | △0.2% |
流動負債 | 1,345,113 | 2.6% |
固定負債 | 265,739 | △6.7% |
純資産 | 1,851,195 | △3.5% |
株主資本 | 1,684,248 | △3.9% |
流動比率 | 137.3% | △5.9ポイント |
自己資本比率 | 48.6% | △1.3ポイント |
負債比率 | 51.4% | 1.3ポイント増 |
4.【損益計算書(Income Statement)からの洞察】:
項目 | 分析結果 |
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売上高(Revenue)の動向 | 売上収益が微減(0.8%減)だが、売上総利益は増加している。これはコスト管理の改善を示唆。 |
利益率の分析 | 営業利益率が大幅に改善(2.96ポイント増)、経常利益も増加。純利益も大幅に伸びている。 |
費用の構造 | 販売費及び一般管理費は減少し、営業利益の増加に寄与。ただし、その他の費用は前期比で減少。 |
5.【貸借対照表(Balance Sheet)からの洞察】:
項目 | 分析結果 |
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資産の状況 | 総資産が減少しているが、流動資産の減少幅が大きい。固定資産はほぼ横ばい。 |
負債と資本のバランス | 流動負債が増加、固定負債が減少。資本も減少しており、バランスが変化している。 |
財務の健全性 | 自己資本比率は低下しているが、依然として中程度の健全性を保っている。負債比率は上昇。 |
6.【キャッシュフロー計算書(Cash Flow Statement)からの洞察】:
項目 | 分析結果 |
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営業キャッシュフロー | 営業活動によるキャッシュ・フローが前期比で減少(35.2%減)。売上債権や棚卸資産の増加が影響。 |
投資活動と財務活動のキャッシュフロー | 投資活動によるキャッシュ・アウトが増加。財務活動では、自己株式取得による支出が大幅に増加。 |
フリー・キャッシュフロー | FCFの計算には必要な情報が不足しているため、算出不可。 |
7.【分析・評価】:
項目 | 評価 | 理由 |
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収益性 | 高い | 営業利益率、純利益の増加から見て、収益性が向上している。 |
安全性 | 中程度 | 自己資本比率の低下と負債比率の上昇が見られるが、健全性は保たれている。 |
生産性 | 分析不可 | 詳細なデータがないため、生産性の評価は困難。 |
効率性 | 中程度 | 資産の効率的運用が見られないが、利益率の改善が一部カバー。 |
成長性 | 高い | 営業利益、四半期利益の成長率から見て、成長性は高い。 |
キャッシュフロー | 分析不可 | FCFのデータが不足しているため、キャッシュフローの評価は困難。 |
8.【総括と投資判断】:
【企業の成長性とリスクのバランス】
- 収益性と成長性は良好だが、財務の健全性は若干の懸念あり。特に、自己資本比率の低下は長期的なリスク増加を示唆。
- ITサービス業界の動向や競争環境を考慮すると、今後の成長が期待される。
【株価の評価】
- P/E, P/B, P/CFなどの具体的指標が不足しているため、株価の割安・割高の判定は困難。
【投資家へのアドバイス】
- 短期的にはポジティブなパフォーマンスが見られるが、長期的には財務の健全性のモニタリングが必要。
- リスク要因として、自己資本比率の低下や負債増加に注意。
9.【課題】:
- キャッシュフローの詳細な分析がデータ不足で困難。
- 生産性や効率性の評価が不完全。
10.【結論】:
富士通は、特に営業利益と純利益の面で強い成長を見せていますが、自己資本比率の低下や負債の増加が将来のリスクを高めています。投資家にとっては、短期的にはポジティブなシグナルが多いですが、長期的には財務の健全性を監視する必要があります。特に、キャッシュフローの改善と負債管理が今後の投資判断の鍵となります。慎重な投資家は、業績の持続可能性と財務構造の安定性を確認するために、さらなる情報収集が必要です。