6807 日本航空電子工業 決算分析レポート

2025年3月期第3四半期決算短信

1.【概要】

日本航空電子工業株式会社は、コネクタやインターフェース・ソリューション、航機事業を主力事業とする企業です。2025年3月期第3四半期の業績は、売上高が前年同期比▲2.9%減少し、営業利益はほぼ横ばい、経常利益と純利益は減少しています。本レポートでは、財務状況や業績動向を詳細に分析し、投資判断に役立つ情報を提供します。

2.【財務項目】

項目金額(百万円)前年同期比
売上高(Revenue)166,453△2.9%
売上総利益(Gross Profit)31,286+2.3%
営業利益(Operating Income)11,454△0.4%
営業利益率(Operating Margin)6.9%+0.2ポイント
営業外収益・費用(Non-Operating Income/Expenses)△384△15.6%
経常利益(Ordinary Income)11,070△10.6%
純利益(Net Income)8,720△19.1%
総資産(Total Assets)223,229△5.4%
流動資産(Current Assets)132,990△7.9%
固定資産(Non-Current Assets)90,239△1.5%
流動負債(Current Liabilities)51,450△3.2%
固定負債(Non-Current Liabilities)38,334△31.6%
純資産(Net Assets / Equity)133,444+5.2%
株主資本(Shareholders’ Equity)111,867+4.5%
流動比率(Current Ratio)258.5%△5.0ポイント
自己資本比率(Equity Ratio)59.7%+6.0ポイント
負債比率(Debt Ratio)40.3%△6.0ポイント

3.【損益計算書(Income Statement)からの洞察】

【売上高(Revenue)の動向】

  • 売上高は前年同期比▲2.9%減少しました。これは主に携帯機器市場の需要低迷と一部製品の終息が影響しています。
  • しかし、航空・宇宙市場での売上拡大はプラス要因として働いています。

【利益率の分析】

  • 営業利益率は6.9%と前年同期比で0.2ポイント改善しています。これはコスト管理の効果が見られます。
  • 純利益率は5.2%で、前年同期比では▲0.1ポイントの減少です。為替変動の影響が大きく見受けられます。

【費用の構造】

  • 売上原価は前年同期比▲3.9%減少している一方、販売費及び一般管理費は+3.9%増加しており、営業利益の維持のための費用管理が厳しい状況です。
  • 原材料価格やエネルギー価格の高騰が続いている中、取引価格の適正化や内製化の強化が行われています。

4.【貸借対照表(Balance Sheet)からの洞察】

【資産の状況】

  • 総資産は前年同期比▲5.4%減少しており、これは主に現金及び預金や売上債権の減少によるものです。
  • 流動比率は258.5%と高く、流動性に問題はありませんが、資産圧縮が進んでいます。

【負債と資本のバランス】

  • 自己資本比率は59.7%で、前年同期比6.0ポイント増加しており、財務の健全性が向上しています。
  • 負債の減少は主に借入金の返済によるものです。

【財務の健全性】

  • 有利子負債は減少しており、財務負担が軽減されました。
  • 自己株式の消却により株主資本が増加しています。

5.【キャッシュフロー計算書(Cash Flow Statement)からの洞察】

【営業キャッシュフロー(Operating Cash Flow)】

  • 減価償却費が15,419百万円と前年同期比で微増していることから、キャッシュフローの安定性は保たれています。

【投資活動と財務活動のキャッシュフロー】

  • 具体的なデータが提供されていないため、算出不可。

【フリー・キャッシュフロー(Free Cash Flow, FCF)】

  • 具体的なデータが提供されていないため、算出不可。

6.【総括と投資判断】

【企業の成長性とリスクのバランス】

  • 収益性は安定していますが、市場の低迷や製品ライフサイクルによる影響が見られます。
  • 航空・宇宙市場への注力は成長ポテンシャルを示していますが、全体的な成長性は限定的です。

【株価の評価】

  • 具体的なバリュエーション指標のデータがないため、評価は困難です。

【投資家へのアドバイス】

  • 短期的には慎重な姿勢が求められますが、長期視点では航空・宇宙市場の成長を見据えた投資が有望です。
  • リスク要因として、為替変動や特定市場の需要変動に注意が必要です。

7.【分析・評価】

【収益性の分析・評価】

  • 評価: 安定しているが、成長余地に課題あり。
  • 営業利益率: 6.9%
  • 純利益率: 5.2%

【安全性の分析・評価】

  • 評価: 健全性向上中。
  • 自己資本比率: 59.7%
  • 流動比率: 258.5倍

【生産性の分析・評価】

  • 評価: コスト管理に注力。
  • 売上高に対する売上総利益率: 18.8%

【効率性の分析・評価】

  • 評価: 効率化の余地あり。
  • 販売管理費: 19,832百万円(売上高比11.9%)

【成長性の分析・評価】

  • 評価: 市場依存性が高い。
  • 売上高: 166,453百万円(前年同期比▲2.9%)

【キャッシュフローの分析・評価】

  • 評価: 情報不足のため、詳細評価不可。

8.【課題】

  • 携帯機器市場や産業機器市場の回復が見られない。
  • 為替変動による収益への影響。
  • 新市場への依存度の高まり。

9.【結論】日本航空電子工業株式会社の現在の財務状況は比較的安定しており、特に自己資本比率の改善が見られます。しかし、売上高の減少や特定市場の不振は懸念材料です。投資家は、航空・宇宙市場の成長ポテンシャルに注目しつつ、リスク管理を徹底する必要があります。