1.【概要】
四国電力株式会社は、電力供給を主力事業とする企業です。2025年3月期第3四半期の業績は、売上高が前年同期比6.9%増加しましたが、営業利益、経常利益、純利益はそれぞれ減少しています。本レポートでは、財務状況や業績動向を詳細に分析し、投資判断に役立つ情報を提供します。
2.【財務項目】
項目 | 2025年3月期第3四半期 | 前年同期比 |
---|---|---|
売上高(Revenue) | 617,990百万円 | +6.9% |
売上総利益(Gross Profit) | 算出不可 | 算出不可 |
営業利益(Operating Income) | 65,335百万円 | -16.8% |
営業利益率(Operating Margin) | 10.6% | -2.7ポイント |
営業外収益・費用(Non-Operating Income/Expenses) | 2,059百万円 | +22.7% |
経常利益(Ordinary Income) | 67,395百万円 | -14.0% |
純利益(Net Income) | 49,555百万円 | -12.0% |
総資産(Total Assets) | 1,631,864百万円 | +0.2% |
流動資産(Current Assets) | 332,361百万円 | +1.9% |
固定資産(Non-Current Assets) | 1,299,503百万円 | -0.3% |
流動負債(Current Liabilities) | 244,005百万円 | +5.5% |
固定負債(Non-Current Liabilities) | 985,537百万円 | -4.7% |
純資産(Net Assets / Equity) | 402,239百万円 | +10.8% |
株主資本(Shareholders’ Equity) | 379,505百万円 | +12.6% |
流動比率(Current Ratio) | 136.2% | -4.9ポイント |
自己資本比率(Equity Ratio) | 24.5% | +2.4ポイント |
負債比率(Debt Ratio) | 203.8% | -22.0ポイント |
注: 売上総利益は決算書から直接算出できませんでした。
3.【損益計算書(Income Statement)からの洞察】
【売上高(Revenue)の動向】
- 売上高は前年同期比で6.9%増加しています。これは主に卸販売電力量の増加(51.6%)によるものです。ただし、小売販売電力量の増加(2.2%)も貢献しています。
【利益率の分析】
- 営業利益率は10.6%で、前年同期比で2.7ポイント下落しています。これは営業費用の増加が売上高の伸びを上回ったためです。
- 純利益率は8.0%で、前年同期比で1.8ポイント下落しています。業界平均と比較すると、電力業界では通常8-10%程度であるため、平均的な位置にあります。
【費用の構造】
- 主要な費用項目では、購入電力料が大きく増加(86.1%)している一方、燃料費は減少(-27.9%)しており、これが費用構造に影響を与えています。
- 費用管理は、特に購入電力料の増加に対応するための新たな戦略や調達方法の見直しが必要です。
4.【貸借対照表(Balance Sheet)からの洞察】
【資産の状況】
- 総資産はわずかに増加していますが、固定資産が減少し、流動資産が増加しています。この動きは、事業用資産の減価償却や核燃料の増加によるものです。
- 流動比率は136.2%と前年同期比で下落していますが、短期的な支払能力はまだ十分に確保されています。
【負債と資本のバランス】
- 自己資本比率は24.5%まで上昇しており、財務の健全性が改善しています。
- 負債の構造は長期負債の減少が見られ、長期的に安定した財務運営に寄与しています。
【財務の健全性】
- 有利子負債は減少しており、キャッシュフローにポジティブな影響を与えています。
- 株主資本の増加は、利益の積み立てによるもので、企業の内部留保が強化されています。
5.【キャッシュフロー計算書(Cash Flow Statement)からの洞察】
- 四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、具体的なキャッシュフローの動向は明示できません。ただし、減価償却費の減少(-3.3%)がキャッシュフローに影響を与えている可能性があります。
6.【総括と投資判断】
【企業の成長性とリスクのバランス】
- 収益性はやや低下しているが、総資産と純資産の増加により財務健全性は改善しています。
- 電力業界の規制変更やエネルギーミックスの変化がリスク要因ですが、売上高の安定した成長が見込まれます。
【株価の評価】
- 具体的なP/E比率やP/B比率などの情報は提供されていませんが、純利益の減少から、割安かどうかは慎重に評価する必要があります。
【投資家へのアドバイス】
- 短期的には、費用構造の改善や新たな収益源の模索が必要です。
- 長期的には、電力供給の安定性とエネルギー転換への対応が鍵となります。リスク管理を重視しながら投資を検討することをお勧めします。
7.【分析・評価】
【収益性の分析・評価】
- 評価: やや改善の余地あり。
- 営業利益率: 10.6%
- 純利益率: 8.0%
【安全性の分析・評価】
- 評価: 改善中。
- 自己資本比率: 24.5%
- 流動比率: 136.2%
【生産性の分析・評価】
- 評価: 安定しているが、効率性向上に取り組む必要がある。
【効率性の分析・評価】
- 評価: 費用管理が課題。
【成長性の分析・評価】
- 評価: 売上高の成長は見られるが、利益率の改善が必要。
【キャッシュフローの分析・評価】
- 評価: 情報不足により評価困難。
8.【課題】
- 購入電力料の増加に対する対策。
- 費用構造の最適化。
- 新たな収益源の開拓。
9.【結論】
四国電力株式会社は売上高の増加が見られるものの、利益率の低下が懸念されます。自己資本比率の改善はプラス材料ですが、リスク管理と効率性の向上に注力すべきです。投資家は、業界の動向や規制の変化に注意しつつ、長期的な視点で投資を検討することが望ましいです。