4204 積水化学工業株 決算分析レポート

2025年3月期第3四半期決算短信

1.【概要】

積水化学工業株式会社は、住宅、環境・ライフライン、高機能プラスチックス、メディカルなどの事業を展開しています。2025年3月期第3四半期の業績は、売上高が前年同期比3.4%増加し、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益共に増加しています。本レポートでは、財務状況や業績動向を詳細に分析し、投資判断に役立つ情報を提供します。

2.【財務項目】

項目2025年3月期第3四半期前年同期比 (%)
売上高(Revenue)955,342百万円+3.4%
売上総利益(Gross Profit)310,405百万円+7.8%
営業利益(Operating Income)77,359百万円+17.5%
営業利益率(Operating Margin)8.1%+1.0ポイント
営業外収益・費用(Non-Operating Income/Expenses)8,737百万円(収益)+21.9%
経常利益(Ordinary Income)86,097百万円+18.2%
純利益(Net Income)68,495百万円+17.2%
総資産(Total Assets)1,332,748百万円+0.7%
流動資産(Current Assets)689,383百万円+0.6%
固定資産(Non-Current Assets)643,364百万円+0.9%
流動負債(Current Liabilities)330,379百万円-4.1%
固定負債(Non-Current Liabilities)156,708百万円-0.6%
純資産(Net Assets / Equity)845,660百万円+3.0%
株主資本(Shareholders’ Equity)816,176百万円+3.0%
流動比率(Current Ratio)208.7%+9.6ポイント
自己資本比率(Equity Ratio)61.2%+1.3ポイント
負債比率(Debt Ratio)63.6%-2.6ポイント

3.【損益計算書(Income Statement)からの洞察】

【売上高(Revenue)の動向】

  • 売上高は前年同期比3.4%増加しており、各事業セグメントで成長が見られます。特に高機能プラスチックスセグメントが8.8%の増加を示し、エレクトロニクス市況の回復が影響しています。

【利益率の分析】

  • 営業利益率は前年同期から1.0ポイント上昇し、8.1%となりました。高付加価値品の販売拡大とコスト管理の強化が貢献しています。
  • 純利益率は7.2%で、前年同期比では改善していますが、業界平均との比較では具体的なデータが必要です。

【費用の構造】

  • 売上原価は前年同期比1.4%増加していますが、売上高の増加率に比べて低いため、総利益率が向上しています。
  • 販売費及び一般管理費は前年同期比4.9%増加しており、営業利益の増加を支えるための投資が行われていることが示唆されます。

4.【貸借対照表(Balance Sheet)からの洞察】

【資産の状況】

  • 総資産は前年比で0.7%増加し、主に流動資産が増加しています。これは棚卸資産の積み増しによるものです。
  • 流動比率は208.7%と高く、短期的な支払能力は十分に確保されています。

【負債と資本のバランス】

  • 自己資本比率は61.2%と高く、財務健全性が高いことを示しています。
  • 負債比率は63.6%と低下しており、財務リスクの軽減が見られます。

【財務の健全性】

  • 有利子負債は減少傾向にあり、キャッシュフローへの影響は軽微です。
  • 株主資本は自己株式の取得により若干減少しているが、全体として増加傾向です。

5.【キャッシュフロー計算書(Cash Flow Statement)からの洞察】

【営業キャッシュフロー(Operating Cash Flow)】

  • 営業キャッシュフローは68,738百万円で、純利益を上回っています。これは効率的なキャッシュ管理がされている証拠です。

【投資活動と財務活動のキャッシュフロー】

  • 投資活動によるキャッシュフローはマイナス34,810百万円で、設備投資が積極的に行われています。
  • 財務活動によるキャッシュフローはマイナス54,657百万円で、主に配当金の支払いと自己株式の取得が影響しています。

【フリー・キャッシュフロー(Free Cash Flow, FCF)】

  • FCFは算出不可(投資活動のキャッシュフロー詳細不足のため)。

6.【総括と投資判断】

【企業の成長性とリスクのバランス】

  • 収益性と成長性は高く、財務健全性も保たれています。一方で、市場の変動や特定のセグメントの需要変動がリスクとして挙げられます。

【株価の評価】

  • P/E比率、P/B比率、P/CF比率は、現在の株価が割安か割高かを判断するために必要ですが、データが不足しているため算出不可。

【投資家へのアドバイス】

  • 短期的には市場動向に注意が必要ですが、長期的な視点では成長が期待される企業です。リスク要因として、特定分野の需要変動や為替の影響を考慮する必要があります。

7.【分析・評価】

【収益性の分析・評価】

  • 評価: 強い。
  • 営業利益率: 8.1%
  • 純利益率: 7.2%

【安全性の分析・評価】

  • 評価: 非常に強い。
  • 自己資本比率: 61.2%
  • 流動比率: 208.7%

【生産性の分析・評価】

  • 評価: 強い。
  • 売上高に対する売上総利益率: 32.5%

【効率性の分析・評価】

  • 評価: 強い。
  • 販売管理費の増加は営業利益の拡大を支えています。

【成長性の分析・評価】

  • 評価: 強い。
  • 売上高の増加は市場の回復と新製品の成功によるもの。

【キャッシュフローの分析・評価】

  • 評価: 強い。

8.【課題】

  • 投資活動の詳細なデータが不足しており、FCFの算出が難しい。
  • 業界平均との比較データが必要。

9.【結論】

積水化学工業株式会社は、収益性、財務健全性、成長性において優れたパフォーマンスを示しています。リスク要因を考慮しつつ、長期的な投資戦略の一環としてこの銘柄を評価する価値があります。ただし、市場の変動や特定の事業セグメントの需要変動には注意が必要です。