1.【概要】 : 野村不動産ホールディングス株式会社は、不動産開発、販売、管理や資産運用を主力事業とする企業です。2025年3月期第3四半期の業績は、売上高が前年同期比10.3%増加し、営業利益、事業利益、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益もそれぞれ25.7%、26.0%、26.5%、44.4%増加しています。本レポートでは、財務状況や業績動向を詳細に分析し、投資判断に役立つ情報を提供します。
2.【財務項目】 :
財務項目 | 金額 | 前年同期比 |
---|---|---|
売上高 (Revenue) | 571,854百万円 | +10.3% |
売上総利益 (Gross Profit) | 203,237百万円 | +18.1% |
営業利益 (Operating Income) | 98,845百万円 | +25.7% |
営業利益率 (Operating Margin) | 17.3% | +2.1ポイント |
営業外収益 (Non-Operating Income) | 2,258百万円 | +6.6% |
営業外費用 (Non-Operating Expenses) | 13,034百万円 | +17.3% |
経常利益 (Ordinary Income) | 88,069百万円 | +26.5% |
純利益 (Net Income) | 62,408百万円 | +44.4% |
総資産 (Total Assets) | 2,384,989百万円 | +5.9% |
流動資産 (Current Assets) | 1,294,426百万円 | +3.0% |
固定資産 (Non-Current Assets) | 1,090,562百万円 | +9.6% |
流動負債 (Current Liabilities) | 445,686百万円 | +34.6% |
固定負債 (Non-Current Liabilities) | 1,223,596百万円 | -0.3% |
純資産 (Net Assets / Equity) | 715,706百万円 | +3.4% |
株主資本 (Shareholders’ Equity) | 706,343百万円 | 算出不可 |
流動比率 (Current Ratio) | 290.4% | -28.9ポイント |
自己資本比率 (Equity Ratio) | 30.0% | -0.7ポイント |
負債比率 (Debt Ratio) | 算出不可 | 算出不可 |
注記:
- 株主資本の前年比はデータが不足しているため算出不可です。
- 負債比率は計算に必要なデータが提供されていないため算出不可です。
3.【損益計算書(Income Statement)からの洞察】 : 【売上高(Revenue)の動向】
- 四半期売上高は前年同期比で10.3%増加しており、特に住宅部門(+11.4%)と都市開発部門(+7.3%)が成長を牽引しています。海外部門も大幅に増収しており、多角化による成長が見て取れます。
【利益率の分析】
- 営業利益率は17.3%となり、前年比で改善しています。これはコスト管理の効果が見られ、売上高の伸びと共に利益率も向上していることを示しています。純利益率も高く、全体的な収益性が向上しています。
【費用の構造】
- 売上原価は前年同期比で増加しましたが、売上総利益率は上昇しています。販売費及び一般管理費は増加しているものの、売上高の伸びに比べると抑制されており、費用管理が適切に行われていることがわかります。
4.【貸借対照表(Balance Sheet)からの洞察】 : 【資産の状況】
- 総資産は5.9%増加しており、特に固定資産が9.6%増加しています。これは不動産投資や開発の拡大を示唆しています。流動比率は依然として高く、流動性の問題は見られません。
【負債と資本のバランス】
- 自己資本比率はやや低下していますが、それでも30%と健全な範囲内です。負債の増加は主に短期借入金の増加によるもので、資金調達の一環として見られます。
【財務の健全性】
- 有利子負債は増加しており、特に短期借入金が増えています。これはキャッシュフローへの影響を考慮する必要がありますが、長期的に見て適切な財務戦略であるかは注視が必要です。
5.【キャッシュフロー計算書(Cash Flow Statement)からの洞察】 : 【営業キャッシュフロー(Operating Cash Flow)】
- 営業活動によるキャッシュフローは減少していますが、これは主に営業エクイティ投資の増加や仕入債務の減少によるものです。純利益の増加と比べてキャッシュフローが追いついていない点は注意が必要です。
【投資活動と財務活動のキャッシュフロー】
- 投資活動では資金の流出が大きく、主に不動産取得や企業買収によるものです。財務活動では借入れによる資金調達が増加しており、配当金の支払いも行われています。
【フリー・キャッシュフロー(Free Cash Flow, FCF)】
- FCFは明示されていませんが、営業キャッシュフローの減少から、投資活動のキャッシュフローに対するカバーが厳しくなっていることが推測されます。
6.【総括と投資判断】 : 【企業の成長性とリスクのバランス】
- 収益性と成長性は良好で、財務健全性も維持されています。ただし、短期借入金の増加や営業キャッシュフローの減少はリスク要因です。
【株価の評価】
- 具体的な株価評価のためのデータが提供されていないため、P/E比率等の具体的なバリュエーション指標は算出不可です。ただし、成長率と利益率から見て、割安感がある可能性があります。
【投資家へのアドバイス】
- 短期的にはキャッシュフローの動向を注視しつつ、長期的には不動産市場の動向や開発プロジェクトの成功度合いを見極める必要があります。リスク管理として、借入金の状況や返済能力を確認すべきです。
7.【分析・評価】 : 【収益性の分析・評価】
- 評価: 高い
- 営業利益率: 17.3%
- 業界平均と比較しても高い水準を維持しており、収益性が高い。
【安全性の分析・評価】
- 評価: 中程度
- 自己資本比率: 30.0%
- 流動比率: 290.4%
- 流動性に問題はないが、負債の増加が将来の財務負担となる可能性がある。
【生産性の分析・評価】
- 評価: 高い
- 売上高に対する売上総利益率: 35.5%
- 効率的なコスト管理が行われている。
【効率性の分析・評価】
- 評価: 高い
- 販売管理費: 104,391百万円(売上高に対する比率: 18.3%)
- 営業利益の増加を支える効率的な管理が見られる。
【成長性の分析・評価】
- 評価: 高い
- 売上高: 571,854百万円(前年同期比+10.3%)
- 各部門の成長が全体の売上増加を支えています。
【キャッシュフローの分析・評価】
- 評価: 中程度
- 営業キャッシュフローの減少は注意が必要ですが、財務活動による資金調達がカバーしています。
8.【課題】:
- 営業キャッシュフローの減少:営業エクイティ投資や仕入債務の減少が影響しており、継続的な監視が必要。
- 短期借入金の増加:これが長期的な財務健全性に影響を与える可能性がある。
9.【結論】: 野村不動産ホールディングスは、現在の業績から見て、成長性と収益性が高い企業と言えます。しかし、資金調達方法やキャッシュフローの管理に注意が必要です。投資家は、特に短期的なキャッシュフローの改善と長期的な財務戦略の確認を慎重に行うべきです。これにより、より安心して投資判断が可能となります。