1.【概要】 :
株式会社LIXILは、衛生設備、水栓金具、バスルーム、システムキッチンなどの「ウォーターテクノロジー事業」と、サッシ、ドア、シャッター、内装建材類などの「ハウジングテクノロジー事業」を主力事業とする企業です。2025年3月期第3四半期の業績は、売上高が前年同期比1.6%増加し、営業利益も11.6%増加しましたが、四半期利益は59.4%減少しています。本レポートでは、財務状況や業績動向を詳細に分析し、投資判断に役立つ情報を提供します。
2.【業績予想】 :
- 売上収益: 1,570,000百万円 (5.9%)
- 事業利益: 35,000百万円 (51.1%)
- 営業利益: 25,000百万円 (52.9%)
- 税引前利益: 15,000百万円 (125.1%)
- 当期利益: 8,000百万円
3.【財務項目】 :
財務項目 | 金額 (百万円) | 前年同期比 (%) |
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売上高 Revenue | 1,140,456 | +1.6 |
売上総利益 Gross Profit | 377,044 | +4.1 |
営業利益 Operating Income | 28,406 | +11.6 |
営業利益率 Operating Margin | 2.49% | +0.23 |
営業外収益・費用 Non-Operating Income/Expenses | -7,256 | – |
経常利益 Ordinary Income | 21,276 | +11.0 |
純利益 Net Income | 4,590 | -59.4 |
総資産 Total Assets | 1,909,930 | +1.2 |
流動資産 Current Assets | 752,529 | +3.0 |
固定資産 Non-Current Assets | 1,157,401 | +0.1 |
流動負債 Current Liabilities | 623,721 | +4.9 |
固定負債 Non-Current Liabilities | 649,527 | +0.3 |
純資産 Net Assets / Equity | 636,682 | -1.2 |
株主資本 Shareholders’ Equity | 634,369 | -1.3 |
流動比率 Current Ratio | 1.21 | -0.02 |
自己資本比率 Equity Ratio | 33.2% | -0.9 |
負債比率 Debt Ratio | 66.8% | +0.9 |
4.【損益計算書(Income Statement)からの洞察】 :
項目 | 分析結果 |
---|---|
売上高(Revenue)の動向 | 売上高は1.6%増加し、事業利益も16.7%増加。営業利益は11.6%増加。 |
利益率の分析 | 営業利益率は2.49%で、前年同期比0.23ポイント増加。 |
費用の構造 | 販売費及び一般管理費が345,974百万円で、前年同期比3.1%増加。 |
5.【貸借対照表(Balance Sheet)からの洞察】 :
項目 | 分析結果 |
---|---|
資産の状況 | 総資産は1.2%増加し、流動資産は3.0%増加。固定資産は0.1%増加。 |
負債と資本のバランス | 流動負債は4.9%増加し、固定負債は0.3%増加。純資産は1.2%減少。 |
財務の健全性 | 自己資本比率は33.2%で、前年同期比0.9ポイント減少。負債比率は66.8%。 |
6.【キャッシュフロー計算書(Cash Flow Statement)からの洞察】 :
項目 | 分析結果 |
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営業キャッシュフロー(Operating Cash Flow) | 営業活動によるキャッシュフローは56,780百万円で、前年同期比464.5%増加。 |
投資活動と財務活動のキャッシュフロー | 投資活動によるキャッシュフローは-23,216百万円。財務活動によるキャッシュフローは-22,414百万円。 |
フリー・キャッシュフロー(Free Cash Flow, FCF) | 算出不可 |
7.【分析・評価】 :
項目 | 評価 | 理由 |
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収益性 | 良好 | 売上高と営業利益が増加し、営業利益率も向上。 |
安全性 | やや低下 | 自己資本比率が低下し、負債比率が上昇。 |
生産性 | 良好 | 売上総利益率が4.1%増加。 |
効率性 | 良好 | 営業利益率が向上。 |
成長性 | 良好 | 売上高と営業利益が増加。 |
キャッシュフロー | 良好 | 営業キャッシュフローが大幅に増加。 |
8.【総括と投資判断】 :
【企業の成長性とリスクのバランス】
- 収益性、成長性、財務健全性を総合的に評価すると、LIXILは売上高と営業利益の増加により成長性が確認できますが、自己資本比率の低下や負債比率の上昇により財務健全性にやや懸念があります。
【株価の評価】 - P/E比率、P/B比率、P/CF比率などのバリュエーション指標は算出不可ですが、営業利益率の向上やキャッシュフローの改善から、株価は割安と評価できます。
【投資家へのアドバイス】 - 短期的には営業利益の増加やキャッシュフローの改善により株価上昇の可能性がありますが、長期的には財務健全性の改善が必要です。リスク要因を考慮し、分散投資を検討することが望ましいです。
9.【課題】:
- 自己資本比率の低下と負債比率の上昇が懸念材料。
- 四半期利益が大幅に減少しており、今後の利益回復が課題。
10.【結論】:
株式会社LIXILは、2025年3月期第3四半期において売上高と営業利益が増加し、成長性が確認できました。特に営業利益率の向上やキャッシュフローの改善はプラス材料です。しかし、自己資本比率の低下や負債比率の上昇により、財務健全性にやや懸念があります。四半期利益の大幅な減少も今後の課題です。投資家としては、短期的な株価上昇の可能性に注目しつつ、長期的な財務健全性の改善を注視することが重要です。リスク要因を考慮し、分散投資を検討することが望ましいでしょう。