1.【概要】:
野村ホールディングスは資産管理・投資銀行・ホールセール業務を主力事業とする金融グループです。2025年3月期第3四半期(2024年4月-12月)の業績は、収益合計3.657兆円(前年同期比+22.5%)、純利益2,688億円(同+146.3%)と大幅成長を達成しました。ROEは10.4%まで改善し、財務基盤の強化が進んでいます。
2.【業績予想】:
決算短信に記載なし。(資本市場の不確実性を理由に通期業績予想を未開示)
3.【財務項目】:
財務項目 | 金額 (百万円) | 前年同期比 (%) |
---|---|---|
収益合計 | 3,657,389 | +22.5 |
税引前利益 | 374,220 | +105.9 |
純利益 | 268,766 | +146.3 |
総資産 | 60,529,845 | +9.7 |
流動資産 | 5,574,514 | +8.1 |
固定資産 | 2,673,656 | +6.7 |
流動負債 | 56,854,739 | +10.0 |
自己資本比率 | 5.9% | △0.2pt |
ROE(年率) | 10.4% | +5.9pt |
4.【損益計算書(Income Statement)からの洞察】:
項目 | 分析結果 |
---|---|
収益構造 | ホールセール部門が収益の54.3%を占め、トレーディング好調が寄与[1] |
コスト管理 | 人件費が12.8%増と抑制され、費用対効果が改善 |
収益性向上 | 営業利益率が10.2%まで改善(前期4.5%) |
5.【貸借対照表(Balance Sheet)からの洞察】:
項目 | 分析結果 |
---|---|
資産拡大 | トレーディング資産が23.6兆円(+20.9%)と急増[1] |
流動性リスク | 流動比率9.8%と低水準(現預金5.57兆円 vs 流動負債56.85兆円) |
資本効率 | 自己資本3,569億円に対し純利益2,688億円と高いROE達成 |
6.【キャッシュフロー計算書(Cash Flow Statement)からの洞察】:
項目 | 分析結果 |
---|---|
営業CF | 分析不可(キャッシュフロー数値未開示) |
投資活動 | 不動産売却による560億円利益計上予定(第4四半期)[1] |
7.【分析・評価】:
項目 | 評価(5段階) | 理由 |
---|---|---|
収益性 | 4 | ROE10.4%で業界平均を上回る |
安全性 | 3 | 自己資本比率5.9%と低め |
成長性 | 5 | 純利益146%増の急成長 |
効率性 | 4 | 資産回転率0.06回と改善傾向 |
8.【総括と投資判断】:
【成長性とリスク】
- ホールセール部門の収益拡大が持続可能かが鍵
- 不動産売却益560億円が第4四半期業績を左右
【株価評価】 - PBR0.8倍(想定)で割安感あり
【投資アドバイス】 - 短期的には記念配期待ちで買い材料
- 長期的には自己資本比率改善に注視が必要
9.【課題】:
- 自己資本比率5.9%と業界標準(8-10%)を下回る
- 流動資産5.5兆円に対し流動負債56.8兆円と流動性リスク懸念
10.【結論】:
野村HDは2025年3月期第3四半期で純利益146%増のV字回復を達成。ホールセール部門のトレーディング好調と資産管理業務の堅調さが収益を牽引しています。創立100周年記念配当(10円)や不動産売却益(560億円)などの特別要因が株価を下支えする一方、自己資本比率5.9%と低水準な点が課題です。短期的には配当期待からの上昇余地がありますが、長期的な投資判断には2025年3月期通期の資本政策とグローバル市場動向の注視が不可欠です。リスク許容度に応じて、短中期ポジションと長期投資を組み合わせる戦略が有効と考えられます。