1.【概要】 :
富士フイルムホールディングス株式会社は、ヘルスケア、エレクトロニクス、ビジネスイノベーション、イメージングを主力事業とする企業です。2025年3月期第3四半期の業績は、売上高が前年同期比8.0%増加し、営業利益も9.0%増加しましたが、経常利益については3.3%の減少が見られました。本レポートでは、財務状況や業績動向を詳細に分析し、投資判断に役立つ情報を提供します。
2.【業績予想】 :
2025年3月期の業績予想は、売上高3,150,000百万円(前期比+6.4%)、営業利益315,000百万円(前期比+13.8%)、税引前当期純利益325,000百万円(前期比+2.4%)、当社株主に帰属する当期純利益250,000百万円(前期比+2.7%)とされています。
3.【財務項目】 :
財務項目 | 金額 (百万円) | 前年同期比 (%) |
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売上高 Revenue | 2,327,519 | +8.0 |
売上総利益 Gross Profit | 955,753 | +9.3 |
営業利益 Operating Income | 223,279 | +9.0 |
経常利益 Ordinary Income | 237,147 | +3.3 |
純利益 Net Income | 181,539 | +4.5 |
総資産 Total Assets | 5,278,927 | +10.4 |
流動資産 Current Assets | 1,679,258 | +6.6 |
固定資産 Non-Current Assets | 3,622,277 | +10.6 |
流動負債 Current Liabilities | 1,154,310 | -1.0 |
固定負債 Non-Current Liabilities | 727,814 | +63.8 |
純資産 Net Assets / Equity | 3,396,803 | +7.1 |
株主資本 Shareholders’ Equity | 3,392,587 | +6.9 |
流動比率 Current Ratio | 145.5% | +10.4 pt |
自己資本比率 Equity Ratio | 64.3% | -2.0 pt |
負債比率 Debt Ratio | 55.5% | +4.7 pt |
4.【損益計算書(Income Statement)からの洞察】 :
項目 | 分析結果 |
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売上高(Revenue)の動向 | 売上高は前年同期比8.0%増加し、堅調な成長を示している。特にエレクトロニクス部門が27.5%の成長を記録した。 |
利益率の分析 | 営業利益率は9.6%で、前年の9.5%から若干の改善が見られる。 |
費用の構造 | 営業費用は、販売費及び一般管理費が増加したが、売上高の増加により利益は増加。 |
5.【貸借対照表(Balance Sheet)からの洞察】 :
項目 | 分析結果 |
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資産の状況 | 総資産は前期比10.4%増加し、成長基盤が強化されている。 |
負債と資本のバランス | 流動負債は減少したが、固定負債は大幅に増加。資本は堅調に増加しており、長期的な安定性を示唆。 |
財務の健全性 | 自己資本比率は64.3%と高水準を維持しており、財務の健全性は保たれている。 |
6.【キャッシュフロー計算書(Cash Flow Statement)からの洞察】 :
項目 | 分析結果 |
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営業キャッシュフロー(Operating Cash Flow) | 2,828億円の収入で、前年同期比408億円の増加。 |
投資活動と財務活動のキャッシュフロー | 投資活動は4,279億円の支出、財務活動は1,696億円の収入。 |
フリー・キャッシュフロー(Free Cash Flow, FCF) | △1,451億円で、投資の多さが影響。 |
7.【分析・評価】 :
項目 | 評価(5段階) | 理由 |
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収益性 | 4 | 売上高と営業利益の増加により、収益性は高い。 |
安全性 | 4 | 自己資本比率が高く、財務の健全性が保たれている。 |
生産性 | 3 | 営業利益率が改善傾向にあるため、良好。 |
効率性 | 3 | 費用の増加が見られるが、売上の伸びがそれを上回っている。 |
成長性 | 5 | 特にエレクトロニクス部門の成長が顕著で、全体的に成長が期待できる。 |
キャッシュフロー | 3 | 営業キャッシュフローは増加したが、投資活動が大きく影響している。 |
8.【総括と投資判断】 :
富士フイルムホールディングスは、全体的に堅調な業績を示しており、特にエレクトロニクス部門の成長が目立ちます。収益性や安全性も高く、財務の健全性を維持しています。しかし、投資活動によるキャッシュフローの減少が懸念材料ですが、長期的な成長が期待されるため、慎重にポジションを考慮することが重要です。市場の動向を注視しつつ、成長性を評価する観点から投資を検討する価値があります。
9.【課題】:
- 投資活動によるキャッシュフローの減少が長期的な成長に与える影響。
- 固定負債の急増に伴うリスク管理の必要性。
10.【結論】:
富士フイルムホールディングスは、堅調な業績と高い成長性を示していますが、投資活動によるキャッシュフローの減少や固定負債の増加が課題となっています。エレクトロニクス部門の成長が今後も続く可能性が高く、全体的にはポジティブな評価を与えられます。投資家は、成長性とリスクをバランス良く考慮し、慎重な投資判断を行うことが推奨されます。