1.【概要】 :
ミネベアミツミ株式会社は、精密機械加工部品や電子機器部品を主力事業とする企業です。2025年3月期第3四半期の業績は、売上高が前年同期比9.0%増加し、営業利益も40.2%増加しました。税引前利益や親会社の所有者に帰属する四半期利益も増加しており、全体的に好調な業績を記録しています。本レポートでは、財務状況や業績動向を詳細に分析し、投資判断に役立つ情報を提供します。
2.【業績予想】 :
項目 | 金額 (百万円) | 前回予想 (百万円) | 増減額 (百万円) |
---|---|---|---|
売上高 Revenue | 1,500,000 | 1,560,000 | -60,000 |
営業利益 Operating Income | 93,000 | 103,000 | -10,000 |
親会社の所有者に帰属する当期利益 | 57,000 | 66,000 | -9,000 |
3.【財務項目】 :
財務項目 | 金額 (百万円) | 前年同期比 (%) |
---|---|---|
売上高 Revenue | 1,147,880 | +9.0 |
売上総利益 Gross Profit | 205,088 | +19.3 |
営業利益 Operating Income | 74,594 | +40.2 |
営業利益率 Operating Margin | 6.5% | +3.5 |
営業外収益・費用 Non-Operating Income/Expenses | 算出不可 | 算出不可 |
経常利益 Ordinary Income | 算出不可 | 算出不可 |
純利益 Net Income | 43,654 | +22.3 |
総資産 Total Assets | 1,575,080 | +11.3 |
流動資産 Current Assets | 893,900 | +12.8 |
固定資産 Non-Current Assets | 681,180 | +9.4 |
流動負債 Current Liabilities | 488,885 | +12.9 |
固定負債 Non-Current Liabilities | 310,383 | +13.2 |
純資産 Net Assets / Equity | 775,812 | +8.4 |
株主資本 Shareholders’ Equity | 764,094 | +8.5 |
流動比率 Current Ratio | 1.83 | +0.1 |
自己資本比率 Equity Ratio | 48.5% | -1.2 |
負債比率 Debt Ratio | 51.5% | +1.2 |
4.【損益計算書(Income Statement)からの洞察】 :
項目 | 分析結果 |
---|---|
売上高(Revenue)の動向 | 売上高は前年同期比9.0%増加し、1,147,880百万円を記録。主要なセグメントでの売上高増加が顕著であり、特にプレシジョンテクノロジーズ事業とモーター・ライティング&センシング事業での成長が目立つ。 |
利益率の分析 | 営業利益率は6.5%となり、前年同期比で3.5ポイント上昇。コスト削減や高付加価値製品の拡販が功を奏している。 |
費用の構造 | 販売費及び一般管理費は増加しているが、売上総利益の増加により営業利益が大幅に改善している。 |
5.【貸借対照表(Balance Sheet)からの洞察】 :
項目 | 分析結果 |
---|---|
資産の状況 | 総資産は1,575,080百万円で、前年同期比で11.3%増加。特に流動資産の増加が目立つ。 |
負債と資本のバランス | 負債は799,268百万円で、前年同期比で13.2%増加。自己資本比率は48.5%と健全な水準を維持している。 |
財務の健全性 | 流動比率は1.83で、短期的な支払い能力は確保されている。負債比率は51.5%で、安定した財務構造を維持している。 |
6.【キャッシュフロー計算書(Cash Flow Statement)からの洞察】 :
項目 | 分析結果 |
---|---|
営業キャッシュフロー(Operating Cash Flow) | 営業活動によるキャッシュフローは94,222百万円で、前年同期比で31,423百万円増加。収益の増加と減価償却費の影響が大きい。 |
投資活動と財務活動のキャッシュフロー | 投資活動によるキャッシュフローは100,843百万円の支出で、前年同期比で31,665百万円増加。主に有形固定資産の取得が原因。財務活動によるキャッシュフローは42,533百万円の収入で、前年同期比で47,686百万円増加。長期借入れによる収入が主な要因。 |
フリー・キャッシュフロー(Free Cash Flow, FCF) | フリーキャッシュフローはマイナスで、投資活動による支出が大きい。 |
7.【分析・評価】 :
項目 | 評価(5段階) | 理由 |
---|---|---|
収益性 | ★★★★☆ | 営業利益率が改善し、収益性が向上している。 |
安全性 | ★★★☆☆ | 自己資本比率が48.5%と健全であるが、負債比率が51.5%とやや高い。 |
生産性 | ★★★★☆ | 売上総利益が増加し、生産性が向上している。 |
効率性 | ★★★☆☆ | 販売費及び一般管理費が増加しているが、収益性の改善により相殺されている。 |
成長性 | ★★★★☆ | 売上高が増加し、主要セグメントでの成長が見られる。 |
キャッシュフロー | ★★★☆☆ | 営業キャッシュフローは増加しているが、投資活動による支出が大きい。 |
8.【総括と投資判断】 :
【企業の成長性とリスクのバランス】
- ミネベアミツミは収益性と成長性が高く、特にプレシジョンテクノロジーズ事業とモーター・ライティング&センシング事業での成長が目立つ。しかし、投資活動によるキャッシュフローの支出が大きく、財務リスクが存在する。
【投資家へのアドバイス】 - 短期的なポジションとしては、収益性の改善と成長性を考慮して投資を検討する価値がある。長期的なポテンシャルとしても、技術革新や新製品開発による成長が期待できるが、投資活動のキャッシュフローに注意が必要。
9.【課題】:
- 投資活動によるキャッシュフローの支出が大きく、フリーキャッシュフローがマイナスであるため、今後のキャッシュフローの改善が課題となる。
- 販売費及び一般管理費が増加しているため、コスト管理のさらなる強化が求められる。
10.【結論】:
ミネベアミツミ株式会社は収益性と成長性が高く、特に主要セグメントでの成長が目立つ企業です。財務健全性も維持しており、投資家にとって魅力的な投資対象となり得ます。ただし、投資活動によるキャッシュフローの支出が大きく、今後のキャッシュフローの改善が課題となります。短期的な投資としては収益性の改善と成長性を考慮して投資を検討する価値がありますが、長期的なポテンシャルとしても技術革新や新製品開発による成長が期待できます。投資判断にあたっては、キャッシュフローの動向に注意を払うことが重要です。