7270 SUBARU 決算分析レポート

2025年3月期第3四半期決算短信

1.【概要】:
株式会社SUBARUは、自動車および航空宇宙を主力事業とする企業です。2025年3月期第3四半期の業績は、売上収益が前年同期比1.1%増加し、営業利益は微減となりましたが、親会社の所有者に帰属する四半期利益は増加しています。本レポートでは、財務状況や業績動向を詳細に分析し、投資判断に役立つ情報を提供します。

2.【業績予想】:
2025年3月期通期の連結業績予想は以下の通りです:
売上収益: 4,760,000百万円 (前期比+1.2%)
営業利益: 430,000百万円 (前期比-8.2%)
税引前利益: 480,000百万円 (前期比-9.9%)
親会社の所有者に帰属する当期利益: 330,000百万円 (前期比-14.3%)

3.【財務項目】:

財務項目金額 (百万円)前年同期比 (%)
売上収益3,536,343+1.1%
売上総利益766,673+2.5%
営業利益369,150-0.5%
営業利益率10.4%-0.2ポイント
税引前四半期利益426,030+2.4%
親会社の所有者に帰属する四半期利益317,402+6.2%
総資産5,046,950+4.8%
親会社の所有者に帰属する持分2,764,778+7.9%
親会社所有者帰属持分比率54.8%+1.6ポイント

4.【損益計算書(Income Statement)からの洞察】:

項目分析結果
売上収益の動向前年同期比1.1%増加。自動車事業の売上台数減少を価格改定と為替効果で相殺。
利益率の分析営業利益率は10.4%と微減。原価率は78.3%とほぼ横ばい。
費用の構造販売費及び一般管理費が4.7%増加、研究開発費が8.9%増加。費用管理に課題がある可能性。

5.【貸借対照表(Balance Sheet)からの洞察】:

項目分析結果
資産の状況総資産が4.8%増加。主に外貨建定期預金と棚卸資産の増加による。
負債と資本のバランス親会社所有者帰属持分比率が54.8%に上昇。財務基盤の強化が進んでいる。
財務の健全性流動比率は262.6%と高水準。短期的な支払能力は十分。

6.【キャッシュフロー計算書(Cash Flow Statement)からの洞察】:

項目分析結果
営業キャッシュフロー3,346億円の収入。前年同期比28.5%減少。主に法人所得税の支払増加による。
投資活動と財務活動のキャッシュフロー投資CFは2,588億円の支出。財務CFは1,783億円の支出。
フリー・キャッシュフロー758億円のプラス。投資を上回る営業CFを創出している。

7.【分析・評価】:

項目評価(5段階)理由
収益性4営業利益率10.4%と高水準。ただし、前年同期比では微減。
安全性5親会社所有者帰属持分比率54.8%と高く、財務基盤が強固。
生産性3自動車生産台数が減少。効率化の余地あり。
効率性4総資産回転率は年率換算で約0.93回。資産効率は良好。
成長性3売上収益は微増。自動車販売台数の減少が課題。
キャッシュフロー4営業CFは減少したが、依然として高水準。フリーCFもプラス。

8.【総括と投資判断】:
【企業の成長性とリスクのバランス】
SUBARUは、高い収益性と強固な財務基盤を維持しています。一方で、自動車販売台数の減少や費用増加が見られ、成長性に課題があります。ただし、為替の影響や価格改定により、収益は維持されています。

【株価の評価】
P/E比率やP/B比率などの具体的な指標は提供されていませんが、収益性の高さと財務健全性を考慮すると、長期的な投資価値はあると考えられます。

【投資家へのアドバイス】
短期的には自動車販売台数の動向や費用管理に注意が必要ですが、長期的には強固な財務基盤と高い収益性を評価できます。リスク要因として為替変動や競争激化がありますが、SUBARUのブランド力と技術力を考慮すると、長期保有を視野に入れた投資が検討できます。

9.【課題】:

  1. 自動車販売台数の減少傾向への対応
  2. 費用管理の強化(特に販管費と研究開発費)
  3. 為替変動リスクへの対策
  4. 航空宇宙事業の収益性改善

10.【結論】:
SUBARUは、自動車業界の競争激化や環境規制強化などの課題に直面しながらも、高い収益性と強固な財務基盤を維持しています。自動車販売台数の減少は懸念材料ですが、価格改定や為替効果により収益への影響を最小限に抑えています。一方で、費用管理や航空宇宙事業の収益性改善など、取り組むべき課題も明確です。長期的な視点では、SUBARUのブランド力と技術力、そして健全な財務状況を考慮すると、投資価値は十分にあると判断できます。ただし、短期的な変動リスクにも注意が必要です。投資家の皆様には、自身のリスク許容度と投資目的に照らし合わせ、慎重に判断することをお勧めします。