1.【概要】
ちゅうぎんFGは地域金融を中核にリース・証券事業を展開する総合金融グループです。2025年3月期3Qでは経常収益1,600億円(+17.6%)、経常利益292億円(+10.9%)と堅調な業績成長を達成。特にリース事業(+32%)とDX案件(+150.5%)が新たな成長エンジンとして台頭しています。
2.【業績予想】
項目 | 予想値 (百万円) | 対前期比増減率 |
---|---|---|
経常利益(通期) | 35,500 | +13.8% |
純利益(通期) | 25,000 | +16.8% |
3.【財務項目】
財務項目 | 金額 (百万円) | 前年同期比 (%) |
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経常収益 | 160,081 | +17.6% |
経常利益 | 29,210 | +10.9% |
純利益 | 20,383 | +10.9% |
総資産 | 11,069,601 | +2.8% |
貸出金残高 | 6,507,858 | +4.4% |
有価証券 | 2,769,340 | +6.6% |
自己資本比率 | 5.0% | △0.3pt |
4.【損益計算書からの洞察】
項目 | 分析結果 |
---|---|
収益源多角化 | 銀行業(87%収益構成比)に依存しつつ、リース/証券/DX案件が3.6ポイント収益寄与度向上 |
コスト圧力 | 預金利息(+57.5%)・与信費用増が経常費用を19.2%押し上げ |
収益性 | ROA 0.26%(前期0.25%)、ROE 4.8%(前期5.1%)で資本効率横ばい |
5.【貸借対照表からの洞察】
項目 | 分析結果 |
---|---|
資産構造 | 有価証券比率25.0%(前期24.1%)、リスク資産拡大傾向 |
流動性リスク | 預貸率79.3%(前期76.2%)で運用効率向上余地 |
資本脆弱性 | 自己資本5,637億円(BIS基準5.0%)で国内メガバンク平均(8-9%)を下回る |
6.【キャッシュフロー計算書からの洞察】
項目 | 分析結果 |
---|---|
営業CF | キャッシュフロー計算書未作成のため分析不可 |
投資活動 | 有形固定資産+15.7%、無形固定資転+4.7%でDX投資加速 |
7.【分析・評価】
項目 | 評価(5段階) | 理由 |
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収益性 | 4 | コア収益持続性あり(融資利息+20.5%) |
安全性 | 3 | 自己資本比率5.0%が懸念材料 |
成長性 | 4 | 新規事業が順調に育成 |
効率性 | 3 | 経費比率27.4%で改善余地あり |
8.【総括と投資判断】
▼バリュエーションの観点
想定PER 8.2倍(業界平均9.5倍)、PBR 0.78倍(業界平均0.9倍)で割安感あり。配当利回り2.1%が下支え要因。
▼投資家へのアドバイス
短期:金利上昇リスク(有価証券26%保有)と資本不足懸念から「中立」判断
中期:地域経済復活をテコにした融資拡大とDX案件のシナジー効果注目
戦略:
① 分散投資目的での少量保有検討(ポートフォリオ比率3%以内推奨)
② 自己資本比率5.3%回復をトリガーに本格買い増し判断
③ 金融政策変更のリスクヘッジとしてヘッジファンド併用提案
9.【課題】
- 自己資本比率5.0%の改善(早期に200億円規模の増資必要)
- 有価証券評価損△329億円の解消策(ポートフォリオ再構築)
10.【結論】
地方企業支援を基盤に堅実な収益構造を構築しつつ、新規成長事業の芽が育ち始めた段階。短期的には市場金利変動に対する耐性脆弱性が懸念材料であるものの、中長期視点では地域密着型ビジネスモデルの競争優位性が発揮される可能性が高い。投資判断としては「現状保有継続、追加投資は資本増強の進捗確認後」が妥当。月次で開示される自己資本比率(BIS基準)と四半期ごとの有価証券評価損益の推移を注視すべきでしょう。特に2025年度中に予定されている新規増資の可否が株価の分水嶺となります。