7981 タカラスタンダード 決算分析レポート

2025年3月期第3四半期決算短信

1.【概要】:
タカラスタンダードは住宅設備事業を主力とする企業です。2025年3月期第3四半期(2024年4-12月期)の決算では、新築集合住宅向け販売好調により売上高が前期比+2.7%増の1,843億円、営業利益は+20.1%増の129億円を記録。リフォーム需要の回復傾向とコスト削減効果が利益改善に寄与しました。自己資本比率69.7%の高い財務健全性を維持しています。

2.【業績予想】:

項目2025年3月期予想(百万円)前年比増減率
売上高239,100+1.9%
営業利益14,500+16.7%
経常利益14,700+14.9%
純利益9,700+2.1%

3.【財務項目】:

財務項目金額 (百万円)前年同期比 (%)
売上高184,316+2.7%
売上総利益63,887+5.0%
営業利益12,876+20.1%
営業利益率6.98%+1.0pt
営業外収益・費用▲365+419%
経常利益13,241+19.7%
純利益9,052+9.9%
総資産274,813+2.3%
流動資産160,009+3.3%
固定資産114,803+1.0%
流動負債62,882+2.7%
固定負債20,262+1.2%
純資産191,668+2.3%
株主資本183,330+2.1%
流動比率254.4%+0.6pt
自己資本比率69.7%±0.0pt
負債比率30.3%±0.0pt

4.【損益計算書(Income Statement)からの洞察】:

項目分析結果
売上高の動向新築集合住宅向け販売が+7.3%増と牽引(1,173億円)。リフォーム需要は-5.2%減
利益率の分析営業利益率6.98%は過去最高水準。原価率65.4%→64.7%に改善
費用の構造販管費率27.7%→27.7%(△0.0pt)。人件費抑制と物流効率化が奏功

5.【貸借対照表(Balance Sheet)からの洞察】:

項目分析結果
資産の状況売掛金+13.9%、電子記録債権+14.9%増加。現預金58.5億円(流動比率254.4%)
負債と資本のバランス有利子負債13.5億円(短期借入金6.75億円のみ)。無借金経営を継続
財務の健全性自己資本比率69.7%は東証プライム市場トップクラス水準を維持

6.【キャッシュフロー計算書(Cash Flow Statement)からの洞察】:

項目分析結果
営業キャッシュフロー前年△116億円→+113億円に改善。売上債権管理と在庫削減が寄与
投資キャッシュフロー有形固定資産取得に73.5億円投資。生産設備拡充に注力
フリーキャッシュフロー算出不可(投資活動支出額が営業CFを上回るため一時的にマイナス)

7.【分析・評価】:

項目評価(5段階)理由
収益性4営業利益率改善持続。ただしリフォーム売上減が課題
安全性5自己資本比率69.7%、流動比率254%で極めて安定
生産性4総資産回転率0.67回は業界平均並み。ROE4.8%
効率性4在庫回転日数48日(前年55日)で改善。売掛金回収遅延に注意
成長性3新築好調も通期売上予想+1.9%と低成長。リフォーム回復が鍵
キャッシュフロー4営業CF黒字化。投資拡大でフリーCFはマイナスだが戦略的投資と判断

8.【総括と投資判断】:
【成長性とリスク】新築需要の堅調継続とリフォーム回復期待。ただし不動産市況悪化リスクに注意。
【評価指標】P/E16.3倍(想定EPS141.94円)、P/B1.7倍(BPS2,843円)は業界平均並み。
【投資アドバイス】高配当(予想利回り2.1%)と財務健全性を重視する長期投資家向け。短期的な材料不足に留意。

9.【課題】:

  • リフォーム売上回復の遅れ(前年比5.2%減)
  • 売掛金増加による運転資本圧迫(+46億円)
  • 物流子会社清算に伴る一時的なコスト発生リスク

10.【結論】:
タカラスタンダードは安定した財務基盤と住宅設備分野での確固たるポジションを有しています。営業利益率の持続的改善(+1.0pt)と5年連続増配実績(予想配当金56円)が魅力です。しかし主要事業の約9割を占める住宅設備事業の構造的課題(新築依存度63%)と人口減少時代の本格到来を踏まえ、中長期成長戦略の具体化が鍵と言えます。現時点では「現状維持(Hold)」評価が適当と判断されますが、リフォーム事業の回復傾向が明確化した段階で再評価が必要でしょう。資金量に応じて分散投資の一環としての保有を推奨します。