9602 東宝 決算分析レポート

2025年2月期第3四半期決算短信

2024年11月までのデータに基づく同期比分析では、売上高は前年同期比+15.3%と堅調な成長を見せています。特に、2024年5月以降の四半期では強い伸びが確認され、市場拡大や需要増加が背景にあると考えられます。営業利益も同様に好調で、2024年11月期では前年同期比+26.9%と大幅に増加。効率的なコスト管理と売上総利益率の改善がこれを支えています。経常利益は2024年11月期で前年同期比+16.6%と、営業外費用の抑制や一部の投資利益の寄与により、営業利益の成長を下支えしています。総じて、売上高、営業利益、経常利益のすべてにおいて、企業が健全な成長軌道に乗っていることが明らかです。

売上高(Revenue):

  • +15.3%
  • 計算式: (2024.11売上高 – 2023.11売上高) / 2023.11売上高 * 100

売上総利益(Gross Profit):

  • +19.7%
  • 計算式: (2024.11売上総利益 – 2023.11売上総利益) / 2023.11売上総利益 * 100

営業利益(Operating Income):

  • +26.9%
  • 計算式: (2024.11営業利益 – 2023.11営業利益) / 2023.11営業利益 * 100

営業利益率(Operating Margin):

  • +2.0%
  • 計算式: (2024.11営業利益 / 2024.11売上高) – (2023.11営業利益 / 2023.11売上高) * 100

営業外収益・費用(Non-Operating Income/Expenses):

  • -82.8%
  • 計算式: ((2024.11営業外収益 – 2024.11営業外費用) – (2023.11営業外収益 – 2023.11営業外費用)) / (2023.11営業外収益 – 2023.11営業外費用) * 100

経常利益(Ordinary Income):

  • +16.6%
  • 計算式: (2024.11経常利益 – 2023.11経常利益) / 2023.11経常利益 * 100

純利益(Net Income):

  • +20.2%
  • 計算式: (2024.11純利益 – 2023.11純利益) / 2023.11純利益 * 100

総資産(Total Assets):

  • -4.7%
  • 計算式: (2024.11総資産 – 2023.11総資産) / 2023.11総資産 * 100

流動資産(Current Assets):

  • -22.5%
  • 計算式: (2024.11流動資産 – 2023.11流動資産) / 2023.11流動資産 * 100

固定資産(Non-Current Assets):

  • +24.4%
  • 計算式: (2024.11固定資産 – 2023.11固定資産) / 2023.11固定資産 * 100

流動負債(Current Liabilities):

  • +13.7%
  • 計算式: (2024.11流動負債 – 2023.11流動負債) / 2023.11流動負債 * 100

固定負債(Non-Current Liabilities):

  • 固定負債のデータがないため計算不可。

純資産(Net Assets / Equity):

  • +3.3%
  • 計算式: (2024.11純資産 – 2023.11純資産) / 2023.11純資産 * 100

株主資本(Shareholders’ Equity):

  • 株主資本のデータがないため、純資産を用いて計算:
  • +3.3%
  • 計算式: (2024.11純資産 – 2023.11純資産) / 2023.11純資産 * 100

流動比率(Current Ratio):

  • -31.1%
  • 計算式: ((2024.11流動資産 / 2024.11流動負債) – (2023.11流動資産 / 2023.11流動負債)) / (2023.11流動資産 / 2023.11流動負債) * 100

自己資本比率(Equity Ratio):

  • +7.8%
  • 計算式: ((2024.11純資産 / 2024.11総資産) – (2023.11純資産 / 2023.11総資産)) / (2023.11純資産 / 2023.11総資産) * 100

負債比率(Debt Ratio):

  • -7.8%
  • 計算式: ((2024.11総負債 / 2024.11純資産) – (2023.11総負債 / 2023.11純資産)) / (2023.11総負債 / 2023.11純資産) * 100

注: 固定負債や一部項目のデータがないため、該当する計算が不可となりました。

1. 損益計算書(Income Statement)からの洞察

  • 売上高(Revenue)の動向:
    • 2024年11月期の売上高は前年同期比で+15.3%の成長を示しています。成長の背景には市場の需要拡大と新製品の成功が考えられます。
  • 利益率の分析:
    • 営業利益率は+2.0%ポイント改善し、22.5%となりました。純利益率も前年比で+14.6%から+16.2%に上昇。業界平均と比べると高い競争力を持っていると言えます。
  • 費用の構造:
    • 売上原価は同期比で増加傾向ですが、売上総利益率は改善し、50.4%まで上昇。販売管理費(販管費)も増えていますが、それ以上に売上が伸びたことで利益率が高止まりしています。積極的なコスト管理が行われている兆候があります。

2. 貸借対照表(Balance Sheet)からの洞察

  • 資産の状況:
    • 総資産は同期比-4.7%減少。流動資産が-22.5%減少する一方、固定資産は+24.4%増加。流動比率は-31.1%下落し、流動性に注意が必要です。
  • 負債と資本のバランス:
    • 自己資本比率は+7.8%改善し、財務の安定性が向上しています。負債比率は-7.8%と改善中です。負債の構造は短期負債が増加傾向にあります。
  • 財務の健全性:
    • 有利子負債は大幅に増加し、純有利子負債は-80,831百万円に。キャッシュフローに影響を及ぼす可能性があります。株主資本は自己株式の取得により減少傾向にあります。

3. キャッシュフロー計算書(Cash Flow Statement)からの洞察

  • 営業キャッシュフロー(Operating Cash Flow):
    • 2024年11月期の営業CFは38,161百万円で、純利益よりも大幅に上回っており、良好なキャッシュ生成能力を示します。
  • 投資活動と財務活動のキャッシュフロー:
    • 投資CFは-10,324百万円とマイナスで、設備投資や有価証券の取得によるもの。財務CFは-39,069百万円で、自己株式取得や配当金支払いが主な要因です。
  • フリー・キャッシュフロー(Free Cash Flow, FCF):
    • FCFは営業CFから設備投資を差し引いたもので、2024年11月期は約27,837百万円(推定)。このキャッシュは配当などに使われていますが、再投資にも余裕があることを示しています。

4. 総括と投資判断

  • 企業の成長性とリスクのバランス:
    • 収益性と成長性は強く、財務健全性も向上中です。しかし、流動性の低下は潜在的なリスク要因です。
  • 株価の評価:
    • 詳細な株価指標は提供されていませんが、P/E比率やP/B比率が高い場合、市場からの期待値が高いことを示す可能性があります。現在の株価評価は割高かもしれませんが、成長性を考慮すれば適正でもあります。
  • 投資家へのアドバイス:
    • 短期的には利益確定のタイミングを窺いながらも、長期的には持続的な成長とキャッシュフロー生成能力に注目。リスク要因としては流動性と負債の増加に注意が必要です。全体としては、成長ポテンシャルに投資する価値はあります。

結論

この企業は強力な売上成長と利益率の改善を見せており、キャッシュ生成能力も良好です。しかし、流動資産の減少や負債の増加には注意が必要です。長期的な視点では成長が期待できる一方、短期的な市場変動や金利上昇の影響に備えることが重要です。

収益性分析

売上高は前年同期比+15.3%で、営業利益率は+2.0%ポイント改善し22.5%。純利益率も上昇し、業界平均を上回る収益力を持っています。売上総利益率も着実に増加しています。

安全性分析

流動比率が-31.1%と低下、流動性に注意が必要。自己資本比率は+7.8%で改善中ですが、有利子負債の増加には注意が必要。負債比率は-7.8%と改善傾向にあります。

生産性分析

総資産は-4.7%減少、固定資産の増加が主な要因。設備投資が行われており、生産能力の拡充が進んでいます。しかし、流動資産の削減が見られ、資産の有効利用に改善の余地があります。

効率性分析

営業キャッシュフローは強く、投資活動からのキャッシュフローはマイナスでしたが、効率的なキャッシュ管理が行われています。営業外費用の削減も効率性向上に寄与しています。

成長性分析

売上高と利益の伸びが顕著で、特に営業利益と経常利益の同期比が高水準。新製品や市場拡大が成長を牽引しています。フリー・キャッシュフローも増加し、再投資や株主還元に利用可能な資金が豊富です。

理論株価(適正株価)

発行済み株式数: 186,490,633株

1. ディスカウンテッドキャッシュフロー(DCF)分析

  • フリー・キャッシュフロー(FCF):
    • 2024年11月期の営業CF: 38,161百万円
    • 設備投資: 24,550百万円
    • FCF = 38,161 – 24,550 = 13,611百万円
  • 成長率: 例として3%と仮定
  • 割引率(WACC): 例として7%と仮定

DCF = FCF / (WACC – 成長率) = 13,611 / (0.07 – 0.03) = 340,275百万円

理論株価: 340,275 / 186.49 = 1,824円

計算過程: FCFをWACCと成長率で割り、総株式数で割りました。

2. 株価収益率(P/E Ratio)による算出

  • EPS (2024.11): 201.4円
  • 業界平均P/E比率: 例として15とする

理論株価 = EPS * P/E = 201.4 * 15 = 3,021円

計算過程: EPSに業界平均P/E比率を掛けました。

3. 株価純資産倍率(P/B Ratio)による算出

  • BPS (2024.11): 2,672円
  • 業界平均P/B比率: 例として1.5とする

理論株価 = BPS * P/B = 2,672 * 1.5 = 4,008円

計算過程: BPSに業界平均P/B比率を掛けました。

4. 株価キャッシュフロー倍率(P/CF Ratio)による算出

  • 営業CF per Share (2024.11): (38,161 / 186.49) = 204.6円
  • 業界平均P/CF比率: 例として10とする

理論株価 = 営業CF per Share * P/CF = 204.6 * 10 = 2,046円

計算過程: 1株当たりの営業キャッシュフローに業界平均P/CF比率を掛けました。

5. 配当割引モデル(DDM)

  • 配当金 (2024.11): 17,062 / 186.49 ≈ 91.5円(推定)
  • 成長率: 例として3%と仮定
  • 割引率: 7%とする

理論株価 = D0 * (1 + g) / (r – g) = 91.5 * (1 + 0.03) / (0.07 – 0.03) = 2,406円

計算過程: 現在の配当金を成長率で増やし、割引率で割りました。

6. 残余収益モデル(RIM)

  • BPS: 2,672円
  • ROE (2024.11): 201.4 / 2,672 ≈ 7.5% (推定)
  • r (required return): 7%

残余収益 = (ROE – r) * BPS = (0.075 – 0.07) * 2,672 = 133.6円 理論株価 = BPS + 残余収益 / (r – g) = 2,672 + 133.6 / (0.07 – 0.03) = 2,908円

計算過程: BPSに残余収益を加えました。

7. 企業価値(EV)分析

  • EBITDA (2024.11): 62,107百万円
  • EV/EBITDA: 例として8とする

EV = EBITDA * EV/EBITDA = 62,107 * 8 = 496,856百万円 理論株価 = (EV – 有利子負債) / 発行済み株式数 = (496,856 – 2,108) / 186.49 = 2,654円

計算過程: EVから有利子負債を引き、発行済み株式数で割りました。

追加指示:上記で算出した理論株価の平均値と中央値を計算

  • 理論株価(適正株価)平均値:
    • (1,824 + 3,021 + 4,008 + 2,046 + 2,406 + 2,908 + 2,654) / 7 = 2,695円
  • 理論株価(適正株価)中央値:
    • ソート後の値: [1,824, 2,046, 2,406, 2,654, 2,908, 3,021, 4,008]
    • 中央値 = 2,654円

計算過程: 各理論株価をリストアップし、平均値と中央値を算出しました。

: これらの計算は仮定と例示に基づくものであり、実際のデータや業界平均が異なる場合、結果も変わります。

課題点

流動性の低下

詳細: 流動比率が同期比で-31.1%と大幅に低下しています。これは流動資産が-22.5%減少した一方、流動負債が+13.7%増加したためです。短期的な支払い能力が弱まるリスクがあり、特に経済環境の急変や資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。企業は流動資産の管理を強化し、短期資金調達の方法を見直す必要があるでしょう。

有利子負債の増加

詳細: 純有利子負債が-80,831百万円まで増加しており、有利子負債自体も同期比で大幅に増えています。これは金利負担増加のリスクを示しており、特に金利上昇局面では財務コストが増える可能性があります。企業の負債管理戦略や資金調達方法の見直しが求められます。

自己株式の取得

詳細: 2024年11月期で自己株式の取得額が20,059百万円と大きく、これは株主資本を減少させる要因となります。自己株式の取得は株価支持や株主還元の一環として行われることが多いですが、長期的に見ると企業の成長資金の確保に影響を与える可能性があります。バランスの取れた資本政策が必要です。

これらの課題は、企業が直面する短期的なリスクや財務戦略の調整を示しています。